2020-01-01から1年間の記事一覧

ミッチェル・フルーム Mitchell Froom ② 『キー・オブ・クール』(1982)

特に見通しも立てずに続けているミッチェル・フルーム特集第2回は、彼の84年発表のファースト・ソロ作品、『キー・オブ・クール』(The Key Of Cool)を取り上げる。 ”デビュー作にはその作家のすべてが現れる”というのはよくいわれる話だが、では、ミッチェ…

ミッチェル・フルーム Mitchell Froom ① Crowded House ‘Don’t Dream It’s Over’(1986)

※プロデューサー、ミッチェル・フルームの歩みを自分の整理がてらまとめた記事です。続く予定。 ‘Don’t Dream It’s Over’は86年発表、バンドのデビュー・アルバム『クラウデッド・ハウス』に収録された一曲。深いリヴァーブのなかで、クリーンかつブライトな…

「シティポップ論文」ざっくり書評

1.論文 2.筆者について 3.歴史的整理 80年代以前 「シティ・ミュージック」 80年代 「シティ・ポップ」 00年代 「シティ・ポップ・リバイバル」 テン年代 新しい「シティ・ポップ」 4.結論 5.重要概念 間メディア性 6.感想・個人的に面白かった…

1977年の革命と『Off The Wall』の波及

1 978年のマイケル・ジャクソンは次の手を模索していたという。ジャクソン5の栄光を経て72年から75年にかけて良質なソロアルバムを出したものの、時代は変化しつつあった。たとえば、Pファンク軍団やザップなどをはじめとするファンクの流行。EW&Fの天文学的…

悪の所在

Netflixオリジナル・ドキュメンタリー「ドラッグ・ビジネス」 (原題:'Business of Drugs') バナナやコーヒーと同じように、コカインもまた世界的なサプライチェーンを形成している。コロンビアで生産・錬成されたコカインはメキシコを通ってアメリカに入…

天才の証明

東京バックビート族 林立夫自伝 作者:林 立夫 発売日: 2020/02/21 メディア: 単行本 荒井・松任谷由実の仕事を始めとして、林立夫のドラムを抜きにして戦後日本のポップスを語るのは難しい。言い換えれば、かならずわれわれはどこかで林立夫のプレイを耳にし…

「名盤」とは何か?:ダイ・グリフィス『OKコンピューター』

ダイ・グリフィスはイギリスの音楽学者・ジャーナリストであり、現在オックスフォード・ブルックス大学で専任講師として音楽学を教えている。過去の実績としては本書に加え、エルヴィス・コステロを扱った書籍がある。本書は歴史的なアルバムを1枚扱って分析…

blonded/blindedの二重性と失われたイノセンス

So why see the world, when you got the beachDon’t know why see the world, when you got the beach なぜ世界なんか見る、ビーチにいるのになぜ世界なんか見るんだ、ビーチにいるっていうのに (Frank Ocean「Sweet Life」) You cut your hair / but you u…

レビュー:King Krule『Man Alive !』

目次 目次 1. まえがき 2.アルバムに対する印象 3.UKポップス史の流れとKing Krule 4.『Man Alive !』の同時代性 5.ポップスにおける「ノイズ」 6.声 7.共同制作 8.まとめ 1. まえがき 2020年2月、King Krule名義の3rdアルバム、『Man Alive !』…

記事紹介:Pitchfork Album Reviews(The KLF『Chill Out』)

The KLF: Chill Out Album Review | Pitchfork https://pitchfork.com/reviews/albums/the-klf-chill-out/ 「絶対にサブスク解禁されないアルバム」ことThe KLFの『Chill Out』をピッチフォークがSunday Reviewsで取り上げていて面白かったので紹介します。S…